公益社団法人 大分県人権・部落差別解消教育研究協議会
人権とは「空気」のようなものです。それがある時は当たり前ですが、人権という「空気」が薄くなるとこれほど苦しいものはありません。ですから、人権とはだれかの特別なものではなく、だれにとっても自分らしさを輝かせて生きていくために不可欠なものであり、ましてや、人権の視点が抜け落ちた教育はありえません。
1976年、大分県同和教育研究協議会(現県人教)は生まれました。かつて「今日も机にあの子がいない」という状況に多くの教職員が心を痛めることもなく、部落の子どもの置かれている状況を、親の怠惰、教育への無理解ととらえ、家の畳の枚数や家庭状況、親の職業や収入、住んでいる場所等、本人の能力・適性とは何ら関係のないところで就職の採用・不採用が決められていた、そんな時代に、子どもたちの向き合わされている“差別の現実”を目のあたりにした教職員が立ち上がり、その立ち上がりはまたたく間に大分県全体へとひろがり、県同教(現県人教)の設立につながりました。
以来、この教訓は「差別の現実から深く学ぶ」という言葉で語り継がれながら、大分県内の教育・啓発に携わる多くの方々が主体的に県人教会員となり、各地区研究会とともに反差別の実践を重ね、大分県における人権教育の内実をつくってきました。
人権確立のため、県人教の取り組みとして確認してきたのは以下の5点です。いずれも県人教という組織だからこそ出来ることであり、欠かすことのできない大切なものです。
《県人教の果たす役割》
①各種アンケート調査の実施・分析等により被差別当事者の声を明らかにすること。
②研究大会や研修会・学習会を通して私たち自身の実践を検証し、その全体化を図ること。
③人権課題の克服に向けたとりくみの方向性を提起すること。
④さまざまな立場で人権問題の解決に向けて取り組む人や組織をつなぐこと。
⑤人権確立のための制度やシステムを関係機関に要求すること。
そして今、「大分県人権尊重施策基本方針」〔2020年施行〕や「大分県人権教育推進計画」〔2021年3月改定〕の中にも、県人教とともに大分県における人権教育・啓発を進めていくことの必要性が述べられており、私たち県人教の果たす役割の重要性が確認されています。
また、公益法人制度改革により2013年4月より県人教は公益社団法人として新たにスタートを切りました。このことは、差別の解消をめざす私たちの取り組みが「公益」のものであるということを明らかにしています。
2016年には「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」と、人権個別課題に関する理念法があいついで施行されました。これらの法律は私たちの取り組みを具体的に後押ししてくれるものであり、県人教は、これまで以上に部落差別をはじめとするあらゆる差別をなくしていく人権教育・啓発の推進において責任ある立場となりました。この状況を受けて、さらに部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消をめざすことを強く打ち出していくために、2020年に「公益社団法人 大分県人権・部落差別解消教育研究協議会」と名称変更をしました。
会員募集のお願い
《だれにとっても「自分ごと」だから》
以上のように、子どもたちの未来を保障し、私たちの生活を高めるために、大切な役割を果たしている 大分県人教は、会員一人ひとりの会費によって成り立っています。それは私たち一人ひとりが人権の「主体者」であり、この取り組みが「人権教育運動」だという信念からです。そのことを理解していただき、県内全ての教育・啓発に関わる人が主体的に会員となり、取り組みを共にしていただくことを望みます。
会員の年会費は2,000円(地区研究会会費別)です。会員には県人教ニュース「じんけん」(年6回発行)、「知っていますか?就学支援のための制度」、人権作文集「ひかり」(職場単位で配付)をお届けします。また、研究大会や講演会など、さまざまな研修や学び合いの場を提供しています。
そして何よりも、県人教会員になることで、真に豊かな人権文化の創造をめざす「人権教育運動」を共に進めるなかまとして多くの人とつながり、取り組みをつくり、共に歩む力となることができます。人権の問題はだれにとっても「自分ごと」で、「関係ない」人なんていません。だから私たちは、人権の「主体者」として歩むことを、他人に任せてはいけないと思うのです。誰か差別をされるかわいそうな人のためにではなく、自分自身のこととして、私たちとともに考え、学んでいきましょう。
あらためて、だれもが「安心」して、「安全」に、「自由」に、自分を輝かせて生きられ、自己実現できる社会にしていくために、大分県人教にともに集い、自らを語り、多くのなかまと歩みを進めていただきますことを重ねてお願いいたします。ぜひともご理解をお願いいたします。
▓「大分県人権教育推進計画」にも、県人教の役割が明記
◇県人教正会員と賛助会員について
【正会員】大分県内にある義務制16研究会・高校8研究会・18市町村が所属する社会教育7研究会の、合計31研究会に所属する方たち全員が正会員の対象となります。会員募集は、各地区研究会からの声かけで行っています。会員募集の声かけが届かない場合は県人教事務局までお問い合わせください。正会員の年会費は2000円です。
【賛助会員】正会員は大分県内にある31研究会に所属している方が対象ですが、賛助会員は31研究会に所属していませんが大分県人教の趣旨や取り組みに賛同していただける方が対象で、加入いただくものです。賛助会員のみなさんには、県人教ニュース「じんけん」をはじめ、人権作文集「ひかり」や就学支援のためのパンフレット、その他をお届けし、もちろん県人教主催事業に参加も出来ます。賛助会員の年会費は1200円です。申し込み方法は以下です。
賛助会員申込用紙(※個人として申し込む場合)と会費振込先口座は以下です。