社団法人大分県人権教育研究協議会 設立趣意書
「人権と共生の世紀」といわれる21世紀がスタートして3年、これまで社会の中で気づかなかった人権問題に多くの人が関心を寄せ、その解決に向けた市民運動も起こされるなど、人として最も大切にされるべき「基本的人権」にかかわる問題が、広く市民の中で論じられ取り組みも行われるようになりました。
解決すべき人権問題は、どれも当事者にとっては最も深刻かつ重大な問題です。それは、社会構造の下でつながっており、ひとつの人権問題だけが切り離されて 単独に解決されるということはありえません。個別・具体的な問題を「人権」をキーワードにして、その共通の構造を見抜き取り組んでいくことが必要です。 2000年末に制定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」は、日本がそうした教育・啓発をもって人権確立を行っていこうという方向性が示された法だといえます。
大分に同和教育をすすめる組織「大分県同和教育研究協議会」が誕生して28年の歳月が流れました。この間、部落問題をはじめあらゆる人権問題を解決していく実践と研究が県内各地で精力的に行われ、その理念・方法・教材・研究組織などが培われととのえられてきました。
同和教育をすすめてきた先人たちは、徹底して事実と実践から出発する営み、すなわち「差別の現実から深く学ぶ」ことを原点として大切にし、教育内容の創造と教育条件整備を中心に、教育による人権確立をめざし、多くの成果をあげることができたのです。
今こそ、その同和教育の内実を基盤とし、同和教育の原則の確かさを継承発展させた「大分における人権教育」をすすめ、その必要性と有効性を広く発信していく必要があります。そうすることが、1998年に出された「人権尊重の大分県をめざす宣言」にある「人権という普遍的文化」の構築への道筋だと考えます。
ここに、私たちは、社団法人大分県人権教育研究協議会を設立し、この目的を図ろうとするものです。
社団法人 大分県人権教育研究協議会設立発起人一同